オタクが婚活を始めてみた話(2)

これまで婚活というか、出会い系というかやわらかな表現をすると恋活をした事がなかったかと問われれば、そういうわけではないんです。一度だけ街コンてのに行ったことがあるんです。

そもそもの始まりは、多分別の機会で書くと思うんだけど私がよく行っていたあるオフ会があって、そこの参加者の1人が今流行の街コン行きてえ、行きたくて仕方ねえ、一緒に行きましょうよと猛烈アタックしてきたので、まあ1回くらいどんなもんか参加してみる事にしたんです。

参加するからには作戦を練りましたね。
まずどこの会場にするか。

新宿とか渋谷とか池袋とか、そういうとこは多分チャラくてウェーイな感じのやつらが集まるのだろうし、会場も広いだろうからのんびり語るってより、声のでかいやつがアピールして、それに女の子がうっとりするんだろうなと想像がついたわけなんです。

んで目を付けたのが武蔵小山。
都会のようでビミョーにマイナーな感じなので、こういうところならこじんまりとしたお店で、4人テーブルとかで嫌でもおなごと話すチャンスを得られるだろうと踏んだんです。

さて当日。
参加してーと連呼してたA君がやってきて一言。

「自信なくなりました、やっぱ帰りませんか」

オメーふざけんじゃねーよ、こちとらクソ高い会費払ってんだ、行くぞって引きずってった。

1軒目は指定された九州料理屋にいったのだが、でけえテーブル席に通され、あれ、当初のもくろみがいきなり崩壊したぜ。
そして、うん、なんか大勢いるね。

男だけ。

まさか武蔵小山の街コンは、実は知る人ぞ知るハッテン場になってるんじゃないかって思うくらい女子がいなかった。
スタッフの人がしきりに、今回はキャンセルが多くて・・・みたいな事を言ってるんだけど、いやこれ詐欺だろ、金返せよ。

仕方ないので、せめて食べ放題飲み放題だけでも楽しもうかと思ったのだが、なんかテーブルに並んでる料理は、本当にこれは居酒屋メニューなのかってくらいしょぼくれたもので、出てくる酒もただの色水で、昔自由が丘にあった280円均一居酒屋よりひどい。

これはだめだと、他の店へ移動する事に。

もうおなごには期待できないので、せめてマシな料理を出す店にしようと当たりをつけてある店に行ってみたら、なんとここすごい。

まずね、イケメンが何人もいて、それに女の子がたくさん群がってる。
これさあ、参加女性が少ないから、イケメンだけ特定の店に固めてあてがったんじゃないかって疑わしいというか、きっとそうなくらいに露骨にそこだけちゃんと「コンパ」ぽかった。

A君も急にテンションが上がってきて、絶妙なタイミングでイケメンがいないテーブルにいた女の子の隣をキープして、おお、眠れる獅子がついに開眼した! と私も続いて隣に座ったのだが、まあなんのことはない、A君、2杯ビール一気飲みしたかと思ったら寝てしまった。
こいつ何しにきたんだよ。

しかし、A君亡き今、A君の隣にいるおなごは私が話しかけて全く問題ないわけで、これは私にとってはチャンスなのである。
実際、A君のシカバネをどけて当たり障りない会話を始める事に成功し、おお、今俺、女の子と会話してるよ、夢じゃないか、てかこいつサクラなんじゃないか、ていうかサクラだったとしてもまあ別にかまわん! くらいには良い気分になりかけたのですが。

数分もしないうちに、うちらと同じように別の店から男たちが入ってきてちょっと離れた席に座ったんだけど、誰も求めてないのに「俺ら銀行員と不動産関係でーす」とか自己紹介はじめたの。
その後どんな自己紹介してたかはもう覚えてないけど、最初の1センテンスでもう十分だよね、女の子が一斉にそのね、そいつらの回りに移動しちゃってね、なんか楽しそうだったね。

イケメンテーブルと、金持ちテーブルに完全におなごをとられ、私がいるテーブルは寝てるA君と、フツメン以下男だけで構成された空間になった。
そして相変わらず飯も酒もまずい。

もうこの辺で、恋愛ヒエラルキーの厳しさを目の当たりにした私は、ヘロヘロのA君をひきずって帰りましたとさ。

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